万花の蜜と星燈り

幸せに繋がる気づきを綴る

瞬きの逢瀬

ミュージカル ☆*: .。. 流星の音色 .。.:*☆

公演完奏 おめでとうございます♪

 

ありがたいことに、御園座でのご縁にこぎつけました。
初の御園座、緊張して向かったけど迷わず着けてステキなところでした。
お隣の席のお姉さま方の会話が聞こえたことには、座席にゆとりがあって観劇しやすい劇場とのこと、
なるほど確かに。
ものすごい雨の日に観に行ったので、少し座席を濡らしてしまったことが申し訳なく・・・。
きんつば美味しかったです。家族の分もいただいて帰りました。

 

大我くんの主演にして初めての作曲担当の舞台。

喜んでいることも、楽しんでいることも以前から伝わってきていて
演じているところも奏でているところも、実際を感じたいと思っていたから
願いが叶ったことが素直に嬉しい。

貴重な一回を目にすることができて、感謝しています。

 

 

干満の波を治める星と樹木草花を見守る星

瑞々しい恋心と終幕の悲哀

光と水の饗宴

 

温もりを牽き綺麗なものを織り込んだ御伽噺

 

 

完全にオリジナルなミュージカルであること

ジャニーズの色が濃く出る作品になることが予見できたこと

これらから、できるだけ先入観をもたずに物語に触れたいと思い、
あまり情報を入れずに当日を迎えました。ある種正解だったと思います。

 

以下、それぞれの役の感想を。

 

 

 

海の星の王子 リーパ(ripa;岸辺)

きょもちゃんの金髪がふわふわしてて、王子様満天。

彼の星の王子さまのようなあどけなさすら感じる風合いに
たくさんの夢を詰め込んだものを演じてくれているんだなと思いました。

歌唱の安定感も上がっているのかな。
自身の手がけた楽曲を歌い上げる姿にはそれとなく余裕も感じられました。

サントラ欲しいです・・・まだ期待していいものなのかしら?

思いの外強く感じたのは、大我くんがお兄さんなんだなという事実。
ティーン(に近い?)な友人に比べて、所作や風合いに大人が滲んでいて。
壮健な父王の治世が100年になる星での出来事なので、ある程度のことは
「そうなのね」って呑んで観れたからいいのだけれど。

儚い危うさを纏う若々しさが、とても限定的で魅力的なものであることを
そこから感じることになるのは驚きの誤算でした。
これまでに重ねた経験からそういった風格に至ったのであれば嬉しいことですね。

 

繊細で湧きあがる想いに素直な少年のリーパと
竜の気を背負い王の役割を課されたリーパ

最終的には、言いたいことと、伝えたい設定がちゃんと分かった・・・と思う。
なにより表情や声の切り替えで、葛藤も描かれていたし。
シンプルにかっこよかった。京本大我に魅せてほしい世界がそこにあった。

疑問に残るのは、聖なる龍の血はダークサイドなの? ということ。

竜は海の化身。治水を担う王室の血統が、脈々と繋いできた星の平穏。

殺陣のシーンが印象的になっていたけれど、
これが軍力でなくシャーマン的な力を担う剣技であるとしたら
海の星の民が、自分の恋を優先する若き王に怒りを向けるのも解るかなぁ・・・

あ、即位式にて王位継承の象徴である錫杖を、まーったく謹まずに
「謹んでお請けします」って言い切るリーパ、面白かったです。
宴なのか、儀式なのか分かんなかったのはご愛敬かな。

 

恋愛について・・・は誰か語って?

古の鎹を感じられる遠く離れた兄弟星。

相手の存在も知らないのに、想いと歌でリンクしてしまうのは
とてもよくわかる。恋心が芽生えるのも、会いたい気持ちが募るのも。

星の縁があるが故に、彦星と織姫というよりはロミオとジュリエットのように
引き裂かれた状態の二人、そして逢える機会があるという奇跡のような誘惑。

抗えないか、会いたくなっちゃうかな。

自分の命を落とす可能性があって、相手にもその危険があって、
それでも「今この命があるのだから会いたい」が勝る。

大人は云う、未来があるのだから、あなたを大切に思う私がいるのだから。

そんなこと、と振り切れるほど幼くないけど、
そうだね、と割り切れるほど成熟してもいない。

無謀で、感情に純粋なティーンの衝動。

彼女と会えて、彼女が露となって自分は濡れても残ったときに、何を思ったのか。

一緒に消えたらよかった? 彼女と共に在る時間が潰えて悔やんだ?
それでも会えた喜びが甘く残るのでしょうか。

叶うなら、竜を制して尚、恋の情をも統べる強さをリーパに求めてしまいます。

それでも、少年漫画のようなミラクルや、少女漫画のような魔法はなくて、
弱さや浅はかさにも感じられる濁りが残るのが、人間っぽい良さなのでしょうね。

 

 

山の星の王女 シルウァ(silva;森)

真彩さんの歌声は、これまで2度ほど番組で聴く機会がありました。
塚ファンの先輩のおススメの方だったこともあって、存在は印象に残っていて。
でも、メイクやファッションが変わってしまうと雰囲気が違うので、
お相手のお名前が分かってから、どんな方なんだろうって調べて初めて、
「あらま、これとこれ視てた、同じ方だわ」って認識しました。

歌謡祭での新妻さんとのデュエットでは、どちらかというと新妻さんがお相手を立てて歌う姿に感動していたので、真彩さんは「それなりに歌える方」という程度の印象。
その後にカラオケバトルでの歌唱を聞いて、聴かせる力のある歌い手、という感覚に。

七夕がお誕生日という引きの強さも相まって、どんなシルウァに会えるのか楽しみに。

そしてお目見えできたのは、
華やかで軽やか、かわいく明るい、愛されて大切にされてきた姫。

歌声も澄んでいて、仕草も乙女の慎ましさと少女の勢いがあらわれていて、
今も尚精進なされているんだろうなということが伝わってきました。

 

「私にはこれといって何もない」「王家の役割である歌の意義も腑に落ちない」

そんな、まさかな状況から、恋を知って逞しく成長をみせるシルウァ。

愛されて育っているから、恋をして愛を伝えるのはとても自然。
でも、深窓に育てられすぎたのか、まだ若いからか、愛の奥ゆきがどうしても薄い。

かわいくないことをいいます。
シルウァの、あの強烈にリーパに会いたい気持ちはともかく
それを実行に移し切ってしまう衝動はどこから湧いてくるんだろう?

リーパは竜の血統として自分の役割に惑う。
シルウァだって、山の王族として自分が将来担うことになる役目は分かっているはず。

一人っ子の描写あったっけ、母フローラーリアは長寿なのかしら・・・
山の星の未来を託せる存在が、この先にあるのかが只々心配で。

私が私を納得させたイメージは、リトルマーメイドのアリエルやアントワネット。
末っ子(でなくてもいいけど数ある姉妹の一人)としてある程度自由度のある姫。
自分の意志で「こうしたいの」と言って、それを貫ける鈍感さのある姫。

ヒロインとしては満点。その無謀な強さが、放つ明るさとなっているのでしょうか。

恋によって、学んでいた歌の力に目覚め、巫女として期待できるようになった。
その成長を喜ぶのも束の間、恋の魔力に引かれて、命を懸けて走り、水に消えゆく。

リーパと強く惹かれあったのだから、会いに行っちゃうのは全然わかるの。
雨に濡れながらの逢瀬でも、結構な時間を共有できてたし、
会えた奇跡を無駄だとは思ってないの。

消えてしまったことは試さないと分からない可能性の高めな結果論。
でも、命と引き換えになるかもってときに、感情を優先して突っ走れるのは・・・
うーん・・・

リーパ(竜)が雨に濡れても消えないことが古文書から推察できた可能性は?
何年か待つことになっても、雨のない年になって会いに行っていたとしたら・・・?

悲恋が約束されたファンタジーにタラレバを言っても仕方ないとは思うのですが。

歌も姿も、愛らしく素敵だったからこそ。
母や乳母の愛を主体的に切っていくのを観ると遣る瀬ない。

なんて、もともと泡沫な命なのだから
自分がときめいたもの、出会った人をもって信じた道を煌めいて駆け抜けよう
っていうメッセージもあるのかな。

「行ってくる~♡」って出掛けるシルウァの愛らしさにあやかって、
一歩を踏み出す強さにしましょう。

 

 

海の星の父王 サルム(salum;外海)

内海さんなのに外海のリーパ パパ。
とてもかっこよかったです。・・・すみません、今回観るまで存じ上げませんでした。
忍たまのオープニングは光GENJIで育っています。お世話になっております。

立ち姿、王が様になることったら。
威厳と抱える優しさが共存している素敵な父君でした。

 

竜の力を王として100年治めた方。

自分の力がまだ弱まりきらないうちに、息子に竜王の役目を譲り
傍らから見守っていく選択をされた、堅実な方。

このストーリーでは、星々のこと、海と山の在り方がほとんど語られません。
治めるべき竜の力は何なのか、自然なのか、外部の勢力なのか。
リーパが闇堕ちしたときの風貌の変化で、竜に凶暴性があり、
星の内省を守る志向が強くなるため、淡い恋心が邪魔になる?ことは・・・分かる。
記憶が断片的になるけれど・・・守るべき海の王宮の仲間や民は覚えていられるのよね。

結論、サルム王も遠き日の恋心を封じて即位し、星の安寧のために生きた。
闇堕ちの苦悩を乗り越えた先輩のはず。

星の成り立ちや竜の存在について、リーパはほとんど知らされずに育っている様子。
父王の教育方針なのでしょうけど、それって有意義なのかしら。

初見で話を追う観客の身としては、リーパと状況理解の速度を共有できる側面があり、
作風の意図はとても理解できました。でも、見る人のイメージにお任せな設定の範囲が広くって。
舞台を観進めると答えのワードが拾えるので、帳尻は会うんだけど、
まずどの程度のファンタジーか打ち出されてないので、邪推いっぱいで観てしまう時間が長くなったのが、
観劇ビギナーにはちょっと苦しかった部分です。

リーパさんの純粋培養ぶりをみて、重要なことは何も教えられていないけど、
あるとき自分で気づきなさいって言われている感じが、ある種のリアル。

考えさせられますね。

 

 

山の星の女王 フローラーリア(floralia;花畑)

新妻聖子様、この方の歌声を生で拝聴することができるなんて。

この一点だけでも、きょもちゃんのファンをして
ミュージカルを観に行く自分になっていたことを褒めてあげたい。

新妻さんが歌いだすと、物語の背景が観えるんです。
エネルギーはいうまでもなく、歌声に込められた情報量が多いこと。
ふんわりとしていたファンタジーが一気に色づいていきました。

歌によって春を呼ぶ巫女を体現なされていて、圧巻でした。素晴らしかった。

 

「こんなに早く私の元から離れていくことになるなんて」

完璧なお手本の如く華やかに歌い上げる前半のナンバーに比して
囁き締めつけられる想いに涙を誘う後半のピアニッシモ

力強く、温もりに溢れ、喜びと苦しさを抱えた深い母の愛。
シルウァを送り出すフローラーリアがマリア・テレジアに被って切なくなりました。

母になられた新妻さんが歌うフローラーリアに触れられて、ほんとうに幸せ者です。
十分見せ場はあったと思うのに、欲をいえば、もっと歌ってほしかった。

 

今回、星々のはざまで歌われる「歌」は
一つ一つにテーマのある心情を乗せた、其々の力を示すアイテムの役割がありました。

ミュージカルの特性として、歌には心情を伝えるだけでなく、
場面の状況を伝えるものでもあると思っています。
その点この作品は、状況説明の役目をほとんどセリフが担っていて、
敢えて歌で物語特有の設定情報を補填する場面は少なかったように思います。

だからこそ、海の星においてリーパが自分の生い立ちを伏せられていて
「どんなことになっているの?」
と諸々不明瞭な一幕序盤から、フローラーリアが山の星視点から代表してそっと
「ここの星々ではこんな生き方をしているのよ」
と地盤を固め、ファンタジーでも夢にならないリアリティを織り込んでくれました。

本当にこの作品の花となってくださり、ありがとうございます。

 

 

星の人々

きょもちゃんが各所で零してくれた言葉を集めると、
いかに素敵な共演者やスタッフに支えられ紡がれた舞台だったかが分かります。

 

その中でも、特に心に残ったことを。

 

ひとつ。

見どころとなっていた殺陣のシーン
おひと方、とっても私好みの美しいシルエットで所作されていた女性がいて。
席が遠方すぎてパンフレットでお名前の一致までできなかったのですが、
終始うっとり見入ってしまいました。

美しい立ち姿、静の佇まいって素敵ですよね。効果的に使われるとなおのこと。

逆に少し残念に思ったのは、即位の儀の後あたり。
リーパとシルウァが二人の世界で歌いあうとき、薄め暗転で周囲の参加者が
一時停止している場面があって。長時間微動だにしないプロの姿は刺激になった。
でも、シーンとしては何か意味のある仕込みか、必要な表現かなって思ったけど、
その後はたしかすっと捌けていったので、静止で留まる必要性が少なく感じました。

 

ふたつ。

海の星の民衆の怒りの歌
エリザベートの「♪ミルク」を思わせる。
エネルギーが素直に届く。ああいう曲調好きなんだな、と再認識しました。

あれっと思うのは、そんなすぐに新たな王の淡い恋の事情が漏れ出るの?
どんな民なのか、戦に喘いでいるのか、天災に苛まれているのか・・・

海の星の成り立ちを踏まえて、民と王宮の距離感や関係性がもう少しクリアだと、
私としてはより感情移入しやすかったと思います。

 

みっつ。

乳母がシルウァを見送る歌
素晴らしいですね、鳥肌ものでした。
物語の悲しみの半分をこのパートが背負っているような想いの込め方で、
シルウァへの愛が溢れてた。
パンフレットより、この舞台にかける想いをうかがって、素敵な方が軸となり
支えてくださっていることに嬉しくなりました。

序盤からバレエがところどころ散りばめられることで場面や感情を表現したり、
セット展開での幻想感を手伝ったりと工夫されていたステージでしたが、
ここでの踊り手の在り方がとびっきり好きでした。
悲しみだけでなく、無事を願う想いや姫の成長と離別への覚悟により華を添え、
それを従えて佇む乳母の姿には貫録が漂っていて、いいものを観たなと思いました。

 

そして。

後半にかけてどんどん声のマリアージュが安定していって。
最後のカンパニー全員で歌うテーマが美しかった。
大我くんが「いい曲ができちゃった」って思っちゃうのがわかったよ。

耳コピでメロディライン上げてくださるファンの方、ありがとうございます。浸れます。
FNS様、ミュージカル楽曲を取り扱ってくださるメディア様、TV披露されること期待しています。

 

星のや虹を見立てた照明
雨を模した噴水

舞台の工夫も素晴らしくって。

雨でめっちゃ濡れてから観劇したこと、少し萎えていたのですが。
私の濡れ方など甘っちょろいくらいキャストさんたちずぶ濡れで・・・
世界観先取りしたと思えて気が晴れたのと、お掃除や舞台メンテナンスなど
毎回これ大変ですよね・・・
と感謝が止まりませんでした。

 

衣装は最初、良くも悪くもお人形ちっくで、確かに可愛い。
後半の衣装替えで、だんだん其々が品を重んじるデザインになって嬉しくなりました。

全く気にせず着ていった服が、ピンク系のワンピにレースのロングカーディガンで
本当に若っっっ干、シルウァスタイルで嬉し恥ずかしかった。
大丈夫、館内ですれ違った方誰もそんな
こと過りもしないレベルです・・・でも思ったんだもん。

 

オケが透けて観えたのも、とても楽しかった♪
指揮の方や弦のボーイング、パーカスのバチ裁きが見えるんですよ、2階席でも。
ファンタジックな楽曲で、音も徐々に安定していって。生の良さを堪能しました。

 

 

あー!ほんとに再演観たいし、DVD欲しいし、サントラ聴きたい・・・

続く舞台となるのなら、きっともっとブラッシュアップされていくんだろうな。

楽曲が大切にされていくことを願っています。

 

 

 

°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

 

 

 

ファンタジーはリアルを踏襲しかつ世界観を創りこんでこそ
響かせたいものが届く手法だと思っていて。

只単に「こういうもんだから感動しなさい」って言われても
想像するに必要な、背景がわかった上で活きる言葉や感情だってある。

今回は完全オリジナルなミュージカル。

共通の歴史観もなく、前例もない。それを観る側の難しさを感じもしました。

心情や場面状況の判断って、言葉の定義や共通認識があってこそ
活きてくるものだなって、頭フル回転させながら観て思った。

ファンタジーで共感を与えられるって難しいんだなと。
私が単に純粋な心、素直さやピュアさを失っているだけなのかもしれないけど。

 

面白いのは作品の自由さ。
ストーリーの余白が多い分、ここは好きにとらえていいよ、と
観る側に自由な発想が託されていたように感じられたことが救いでした。

届けたいのが音楽だったなら、それは確かに届いた。
全力で最善を追い求めて届けてくれた舞台であることも感じてる。

 

虹の谷という鵲がつなぐ瞬きの逢瀬

 

遠く架空の星の出来事だけど、現代の人間と同じ悩みを抱えていて共感できる

親が子を想うこと
欠けたところを補ってくれた相手に恋をすること

時代も空間をも超えた普遍的とされる想いをベースに
年に一度出会えるかわからない星の軌道を歌の力で乗り越える

 

「好きなんだ」「愛してる」

逢って伝えられる一瞬の奇蹟

 

願いを叶えていける今に感謝を。

そして、多くの方が紡いで届けてくださったことに心から感謝しています。